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僕がベトナムに投資する理由

イギリスのEU脱却はベトナム経済にどんな不利益を与えるか

2016年6月26日

イギリスのEU脱却を決める国民選挙。何だか楽観的に、どうせ残留になるだろうとみていましたが、ふたを開けてみれば歴史的な選択の瞬間、イギリスのEU離脱が決定してしまいました。「British(英国:イギリス)」が「Exit(離脱)」するので、組み合わせてBrexit(ブレグジット)という造語にまでなっています。 このブレグジットによって、経済や政治に大きな影響が出ることが懸念されています。

一夜明けての金曜日のベトナム市場は、一時VNインデックスが5.5%下落して600を割り込みました。僕越がお昼休みにどれどれと状況を確認した際は約3%安だったのですが、午後一で大きく下げたようです。ただ、日本株式市場の大きな下げに比べて、ベトナム市場は、終わりの時点では大きく戻し、VNインデックスは2%ほどの下落の620で落ち着きました。僕越の主力株のひとつであるベトナム投資開発銀行(BID)がどこまで下がるか、と若干はらはらしましたが、値を大きくもどしています。

ヨーロッパでは、景気の悪いギリシャやイタリア、スペインなどは▼12-13%の大きな下落でしたし、まだ状況のよいはずのドイツ、フランスなどの主要国も▼6-8%の下落でした。一方、震源地のイギリスは▼3%ととても軽微だった印象です。EUにとってイギリスがどれだけ大事だったかということでしょうか。

そんな状況のなかで、ベトナム市場は底堅く、ずいぶんよかったということになります。昨年9月の中国株下落のときもいち早く相場が戻ったベトナム。週末にどんな情報が流れて、月曜日に乱降下するかわかりませんが、もしかしたら大きく下げたところが購入のチャンスかもしれませんので、ベトナムのこれからについて、わかる範囲で考えてみたいと思います。

 

イギリスポンド下落。でも直接投資はそれほど多くないのではないか

まず、ポンドが下落しています。対日本円では選挙前の高値176円ほどから一気に134円ほどまで一日で下落しています。25%の下落率はなかなかのものです。今現在は140円ほどで小休止しているようです。

対ベトナムドンのイギリスポンドチャートはこちらです。

33000ドン/ポンドから30300ドン/ポンドへと10%ほど下落していますが、日本ほどの変動はみられませんでした。

 

世界の通貨の中で著しい日本円高ですが対ベトナムドンは思ったほど動いていません。(ベトナムドン円のチャート

212ドン/円から216ドン/円に2%ほどの小動きです。一ヶ月ほど前は200ドン/円くらいだったので、すでに円が強くなっていたという見方かもしれません。ベトナムドンは対ドルでもほとんど動いていません。近年のベトナム政府の努力の賜物かもしれません。

 

さて、今後も為替が混乱すると影響がでそうなのがFDI(外国直接投資)です。

ただ、参考までに最新の記事を読んでみてもイギリスからの案件のニュースはなく、直接投資はもともとそこまで大きくなさそうな気がします。

VIET-JO年初5か月のFDI認可額、前年同期比2.4倍に加速―実行額+17.2%増

イギリスの対外投資自体は、この表によるとマイナスになって最下位です。

世界の対外直接投資ランキング

したがって、イギリスからベトナムへのFDIは問題にならないと思います。素人考えですが。

僕越が感じるのはEU経済が混乱して、ベトナムから投資が引き上げられたり、ユーロが下落して比較的多いフランスなどからの観光客が減ることのほうが被害が大きそうな気がしています。実際、ギリシャ危機の時には、ヨーロッパの結構な数のFDIや投資案件が引き上げてしまったようです。

ただ、今回はギリシャと違って国がつぶれるとかいう話ではないので、イギリスのEU離脱決断によるEU経済への影響が最小限ですめばよいなと思います。

 

イギリス、ヨーロッパに留学しているベトナム人子女は多い

イギリス英語を流暢に話せる。そんなブランド志向からか、イギリスに留学しているベトナム人は結構多いようです。また、フランスやイタリアなどにも多いようです。混乱はありますが、イギリスポンドやユーロは当面安くなりそうですから、ベトナム人をはじめとした留学生には好都合かもしれません。

 

円高による為替差損と日本からのFDIの駆け引き

ユーロ下落を受けて、ユーロ建て債務の大きいペトロベトナム第二ニャンチョック電力株(NT2)がストップ高しました。2021年までつづくユーロ建て債権の返却が楽になるからです。

一方、日本円建ての債権が多いファーライ火力発電株(PPC)は、円高による為替差損が見込まれるため、値をさげています。

ユーロ建て、円建ての債権の違いで火力電力株に大きく差が出たのが印象的です。

 

今後もユーロ安、円高が続くとの見方がありますので、為替変動による利益不利益と、日本からの投資増加の呼び水効果の双方が株式市場には影響しそうです。日本は、オリンピックという特別内需のせいで、企業や投資が内向きになっているようにおもえていましたので、この円高の機会は日本政府や企業が海外投資に目を向ける千載一隅のチャンスかもしれない、とも思います。

 

 

とりあえず戦々恐々として書き始めた記事ですが、書き終えてみて、実は、イギリスの混乱の影響はベトナムではそこまで大きくないのではないか?と、楽観的に思いました。

ただ、世界経済は混乱しています。リスク管理はしつつ、今後の動きに備えたいと思います。みなさんもお気をつけて!

 

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