よく使われる言葉、というのはその国の文化をあらわします。日常の挨拶として使われる「アンコムチュア?(ご飯食べた?)」も挨拶なので、「ゾーイ(食べた)」というのが礼儀だとか。食文化と食事でのコミュニケーションを大事にするベトナムならではです。
僕越がベトナムにきてから、5年が経ちました。2人の子供がうまれ、自分自身も30代半ばに。その間にベトナムに来てよく聞くようになった言葉が、あっという間に新しい口癖になりました。これが自分がベトナムになじんだ、と思わせるのに十分なもの、だと思いましたので、今日はそのお話を。
おおらかな南国のベトナムに慣れるとできた口癖
ベトナムの人たちは本当におおらかです。すこし滞在してみれば、働き方や、口癖のはしばしからその気質を体感できるはず。そのおおらかさ。悪く言えば適当さ。当然、僕越が一緒にはたらく、わが社の社員たちにももちろん現れます。
朝のルーズさは、その典型的なところ。スタッフの中で、仕事はできるけどとりわけ朝が弱い女の子がいました。彼女の朝の弱さはぴか一で、なかなか直りません。
朝一で、どうしても必要な資料があったりクライアントの連絡先を知りたいとき、彼女に連絡し書類の場所や連絡先を聞くんですが、SMSにいつもついてくる言葉。
「Good luck!」
おいおい、お前が遅れてこなければ、聞かなくていいことなんだぞ!と思いつつ、Good luckと言われ続ける日々でした。
そんなある日。社内会議で、みんな朝をきちんとしようということになり、僕越がスタッフの管理者となりました。遅刻と休暇の連絡先が僕越になりました。
翌朝から
「バイクが壊れました」
「疲れていておきれません」
「大雨で家の前が河なので、遅れます」
「風邪をひきました」
「子供を幼稚園に送っていきます」
「公安につかまりました」
などなど、いろいろな理由が、朝、僕越の携帯に送られてきます。
最初は送ってきたスタッフの状況を想像して、「take care!」とか「医者いけよ」とか返してたのですが、毎回、文言を考えるのに時間を使うことに意味があるのか?と考えるようになりました。
そのときに、なるほど、よほどの重大事項でないかぎり「Good Luck!」という言葉のよさがわかるようになりました。そうです。このGood luck!という言葉は、使い出してみるとベトナムでは本当に重宝する言葉だったのです。Good luckと言い放っておけば、たいていのことはOKです。毎朝、Good luckと送り続ける日々。
次第に、口癖にも、現れてきます。「グッドラック!」「グッドラック!」「グッドラック!」
途上国での予測不可能な生活
もし、あなたが、グッドラックと言うことに抵抗がなくなっていたなら、きっとそれだけベトナムという国になじんだ証拠でしょう。発展途上国とはマネジメント途上国といわれるくらい、日本では思いもよらない事態がおこります。
道に穴があいていたり、
電線が道にたれさがっていたり、
交通事故がたくさんあったり、
100m置きに倍増するスーパーメータを搭載したぼったくりタクシーがいたり。。。
そんな、予測不可能な日常を乗り越えるのに必要なもの。それがグッドラックなのでした。Good luckを使わなくていいのは、ご飯くらい。どこのお店にいっても、ご飯は99%おいしいです。
そんなパパの住む、グッドラックの国ベトナムへぜひ一度はおいでください。