それは、まるで交通事故のように。。。。突然に襲ってきたのは悪魔のような黒光りした生き物。
ご・き・ぶ・り
いったい僕越の身に何が?
こんばんは。ハノイの僕越です。
今夜は仕事の都合ですっかりおそくなりました。そこで、おつかれ僕越は、”ミーサオ”というベトナム風焼きそばを無性に食べたくなりました。夜だけオープンするこの屋台。オフィスからのかえり道、うすぐらい交差点にあります。あしもとに電線のからまった電信柱ぞいの。いつものなれ親しんだプラスチックのお風呂椅子にすわり、ミーサオとボーフック(レッドブル)をたのみました。
買ってきた雑誌をひととおり見おわり、友達とメールを数度かわしたあと、やっと今夜のごちそうミーサオがやってきました。インスタント麺の上に牛肉、しいたけ、チンゲン菜がのったとてもおいしそうなミーサオです。もう時間は10時すぎ。お昼に軽食を食べただけのパパはもうぺっこぺっこ。
いざ、いただきます!
とミーサオに箸を突っ込もうとした瞬間。。。
左手が、もぞもぞっ、と!
「ん?」
と思って左手をみると、そこには袖をよじ登ってくる黒いイナズマ
いや
黒い閃光
いや
ごっきぶり!
瞬時にぱぱっと立ち上がったパパは、そのあとは、まさにマトリックスのネオ。まわりがスローテンポに見えるくらい、
腕をふり、
ジャケットを脱ぎすて、
遠くへジャーンプ。
。。。静かな沈黙が周囲に漂います。
遠くでは、バイトのお兄ちゃんが、何が起ったんだと興味深げに僕越をみています。10秒ほどたったでしょうか。正気にもどり、安全を確認したパパは、かばん、ジャケット、そして、大事なミーサオをチェック。
次はテーブルの下。入念にごっきーがいないかチェックします。
・・・・・
ここベトナムは、ゴキブリ天国。
ベトナムではゴキブリのことを”con gian”といいます。日本語で発音すると”コンジャン”もしくは”コンザン”です。このベトナムのゴキブリ。日本のごきぶりより車高が高い。そして、生活のなかでの距離感がベトナムの人と大変近く仲むつましい生活をしてらっしゃいます。
ベトナムの人は、ごきぶりを無視します。というか、気にしません。
ベトナムの人は、ごきぶりをデコピンできます。
ベトナムの人は、ごきぶりを素手でつまめます。
そして極めつけは、ベトナムの人は、ゴキブリ色を好みます。
だ・い・す・き、なんです。
ごきぶり色が。
ベトナムの住宅では木の仕上げによくこげ茶色が使われます。なんと、この色。ベトナムの人は“ごきぶり色”と呼びます。艶のある茶色、ぎらりと光るこの赤茶色が、ストライク!なんです。ですから、ベトナムの人は、ゴキブリを見るたびに、「こいつ、なかなかいい茶色してんな。」とか思うとか、思わないとか。・・・・・
安全が確認され、やっとご飯にありつけたパパ。
ミーサオを食べながら、もし、さっきのごきぶりがこのミーサオについちゃっても無料で交換とか、、、きっとしてくれないんだろうな。と考えながら、微妙な夜ご飯をすませたのでした。