ベトナムには4つの国営銀行がありますが、VietnamNetでベトナム国営の3銀行の買収計画後のポジションの変化についての記事が出ていましたので、要約してみます。(元記事はVietnamnet - The positions of three major banks in Vietnam after mergers 2015年04月25日付。)
合併後のベトナム国営三銀行のポジションについて(要約)
4つの国営銀行のうちアグリバンクを除く3銀行、VietinBank(CTG、ベトインバンク)、Vietcom Bank(VCB、ベトコムバンク)、BIDV(BID、ベトナム投資開発銀行)は買収計画を発表している。その後、各行のポジションはどう変わるのだろうか?
ベトインバンクとBIDVは、直近の株式総会で買収計画を発表している。
BIDVはメコン住宅開発銀行を買収し、ベトインバンクはPGbankを購入する。一方、ベトコムバンクは4月の株主総会で買収計画の具体的な銀行の発表はなかったが、SaigonBankの取得が噂されている。
合併が完了したあと、ベトナムの4つの国営商業銀行のうち、3つの銀行の力関係に変化は生まれるのだろうか?合併後はベトインバンクは引き続き最大の銀行であり、最大資本とネットワークは他2グループを上回る。
ベトコムバンク+サイゴンバンク
合併後資本:29.73兆ドン(26.65兆ドン+4兆ドン)
支店数:534支店(450支店+84支店)
合併後総資産:656.52兆ドン(640兆ドン+16.52兆ドン)
合計ローン(2014年末時点):334.532兆ドン(323.332兆ドン+11.2兆ドン)
ベトコムバンクの2015年中の預金の伸びは13%が予想されている。
BIDV+メコン住宅開発銀行(2015年5月25日に合併予定)
合併後資本:31.512兆ドン(28.112兆ドン+3.4兆ドン)
支店数:171支店、787取扱所
合併後総資産:695兆ドン以上(655兆ドン+45.313兆ドン)
合計ローン(2014年末時点):491.605兆ドン(461兆ドン+30.605兆ドン)
2015年中の預金の伸びは16%が予想されている。
もし、合併がプランどおり順調に進行すれば一番早い合併契約になる。この契約が速く進みそうな理由として、90%の株式が政府所有のものであることがあげられる。
ベトインバンク+PGbank
合併後資本:40.234兆ドン(37.234兆ドン+3兆ドン)
支店数:168支店、1063取扱所
合併後総資産:600.039兆ドン以上(574.26兆ドン+25.779兆ドン)
合計ローン(2014年末時点):454.507兆ドン(440兆ドン+14.507兆ドン)
さらに2015年中の預金の伸びは13-15%が予想されている。
合併後はアグリバンク(Agribank)、リエンベトポストバンク(Lienvietpostbank)に次ぐ3番目に大きな銀行ネットワークになる。
これらの合併から彼らが得る利益はなんであろうか?
1)ベトコムバンク
ベトコムバンクはサイゴンバンクのマーケットの中に潜在的な市場が限定されているため、他の2グループに比べて不利に見える。
2)BIDV
BIDVグループは、両者が政府保有されていることから合併が容易にすすむであろうし、メコン住宅開発銀行のもつメコン川デルタのマーケットの伸びを取り込むことができるであろう点に関して利益がありそうである。このネットワークはそれほど大きいものではないが、メコン住宅開発銀行はメコンエリアの農村市場に注力している。BIDVのこれまでの強みは都市部や工業地帯への金融サービスであったから、BIDVはメコン住宅開発銀行を合併することで農村地帯での市場拡大に可能性がある。
これまでBIDV は大規模プロジェクトに焦点をあてていたが、メコン住宅開発銀行は小売銀行サービス(リテールバンキング)に特化されていたため、BIDVをサポートする体制が合併後できあがる。
3) ベトインバンク
ベトインバンクとPGbankの株式交換比率は1:0.9でベトインバンクにとって不利なレートでないかといわれている。しかし、合併コンサルタントであるDeloitte and Mayer Brownは現在の株価だけでなくPGbankのもつ無形資産、たとえばクライアント、支店数、Petrolimexとの親密な関係を評価したと考えられる。
PGbankの大株主、ペトロリメックスは全国に2000以上の給油所をもち、多くの顧客を抱えている。PGbankの関連会社PJICOも500万以上の顧客をかかえている。
ベトインバンクはビジネスプランでリテールバンキングの57パーセントの伸びを計画している。したがって、この交換レートはPGBankの持っている潜在顧客の将来的な寄与が考慮されている。
要約は以上。
このレポートから読み取れること。
- BIDVのメコン住宅開発銀行との合併は順調にすすみそうである。
- BIDVグループ、ベトインバンクグループともに補完関係にある買収計画で合併後は規模拡大が順調にすすみそうである。
ベトコムバンク、ベトインバンクはすでに外国人株主保有率がマックスの30%に近い状況です。2014年に上場されたBIDVはまだまだ外国人株主保有率が少なく、機関投資家や大口投資家の参入の余地があります。もし、この合併がうまくいくようですとさらに注目されることになりそうです。BIDVをおすすめ株として注目していきたいと考えています。