あなたはどれくらいの資産運用実績を残しているか、計算したことがありますか?
計画的に資産をつくるためには、自分の投資がどれくらいのリターンをもたらしているか定期的に確認することはとても大切です。たとえば、マラソンなどのスポーツでは、よりよい成績をめざしてスキルアップするために、計測しその記録の分析をすることが必要です。リスクの高いといわれるベトナム株などの新興国株式投資でも、スキルアップのために計測と分析をすることは、結果として投資成績を向上させることにつながります。
さらにはその運用利回りの実績が、投資ファンドなどがつかう投資パフォーマンスの計算方法に近いもので把握できれば、自分の投資パフォーマンスとプロトレーダーの投資パフォーマンスとを比べることが可能になります。もしかすると、手間暇をかけて新興国株式投資にいそしむより、プロの手がける手堅い投資信託のほうが安定した運用利回りを達成しているかもしれません。
僕越も、ベトナム株メルマガの中で毎回投資利回りを公表していますが、資金の出し入れや配当金など、運用利回りの計算は単純ではありませんね。そこで、このテト正月を利用して個人投資家でもできる簡易な方法を調べました。その結果たどりついた「修正ディーツ法」という計算方法は、マイクロソフト・エクセルなどの表計算ソフトが使えれば比較的簡単に精度の高い運用利回りが計算できます。個人投資家向けの運用利回り計算方法です。
1・修正ディーツ法で利回りを計算する準備
運用利回り計算方法で使われるものは、主に厳密法(日次評価法)、修正ディーツ法、ディーツ法、修正BAI法などがあるそうです。その中で、修正ディーツ法は、月次、年次のパフォーマンス計算のどちらにも適用しやすいため、おすすめです。
修正ディーツ法で計算するにあたり必要なものは以下です。
- 期初、期末の口座時価総額(現金含む)
- 入出金履歴(金額・入出金日)
- 配当金履歴(金額・入金日)
では、次項で具体的に計算事例をあげてみましょう。
2・修正ディーツ法を使った運用利回り計算方法
たとえば、一月の投資パフォーマンスを計算してみることにします。
2.1 追加資金、配当のない場合
まず、1月1日時点の口座時価総額が100万円、1月末の時価総額が110万円だったとします。そうすると運用利回り計算式は次のようになります。
◎利益 = 110万円 – 100万円 = 10万円
◎利益を得るために使った運用資産 = 100万円
◎1月の運用パフォーマンス = 利益 / 利益を得るために使った運用資産 = 10%
入出金がないため、非常にシンプルです。では、資金を追加が月の途中であった場合はどうでしょうか?
2.2 資金を追加した場合
1月1日時点の口座時価総額が100万円、1月10日に5万円の資金追加、1月末の時価総額が115万円だったとします。そうすると運用利回り計算式は次のようになります。
◎利益 = 115万円 – 100万円 - 5万円 = 10万円
◎利益を得るために使った運用資産 = 100万円 + 5万円 x (21日 / 31日) = 103.3871万円
◎1月の運用パフォーマンス = 利益 / 利益を得るために使った運用資産 = 9.67%
入金によって運用資産が増えたことによって、運用パフォーマンスは下がっています。ただし、月の途中での入金なので、入金後の期間のみ運用資産として計算します。
2.3 さらに配当金があった場合
1月1日時点の口座時価総額が100万円、1月10日に5万円の資金追加、1月20日に1万円の配当金、1月末の時価総額が116万円だったとします。そうすると運用利回り計算式は次のようになります。
◎利益 = 116万円 – 100万円 - 5万円 - 1万円= 10万円
◎利益を得るために使った運用資産 = 100万円 + 5万円 x (21日 / 31日) +1万円 x (11日/31日) = 103.7419万円
◎1月の運用パフォーマンス = 利益 / 利益を得るために使った運用資産 = 9.64%
さらに配当金によって運用資産が増えたことによって、運用パフォーマンスは下がっています。ただし、配当されたあとの期間のみ運用資産として計算します。
2.3 入金ではなく、出金だった場合
さいごに1月1日時点の口座時価総額が100万円、1月10日に5万円の出金、1月20日に1万円の配当金、1月末の時価総額が106万円だったとします。そうすると運用利回り計算式は次のようになります。
◎利益 = 106万円 – 100万円 + 5万円 - 1万円= 10万円
◎利益を得るために使った運用資産 = 100万円 - 5万円 x (21日 / 31日) +1万円 x (11日/31日) = 96.9677万円
◎1月の運用パフォーマンス = 利益 / 利益を得るために使った運用資産 = 10.31%
出金によって運用資産が減ったことによって、運用パフォーマンスはあがったことになります。
同じ10万円の利益でも、運用資産の出入りとその計算方法によって、運用パフォーマンスは上下することがわかったと思います。月次では大きな違いは出なかったかもしれませんが、年次だとその差は大変大きくなりますね。
参考ホームページ
KABUEYE BLOG: 個人投資家のための運用利回り計算法(2)修正ディーツ法
3・修正ディーツ法を使った結果、僕越の2016年1月のベトナム株運用実績は?
さて、実際にその計算方法を僕越の2016年1月の運用パフォーマンスにあてはめてみました。
2016年。年初から中国経済の先行き不透明感でスタートしたベトナム株式市場は大きく下落。ホーチミン証券市場のVNインデックスも、579.03から545.25へと6.4%も下落しました。肝を冷やしている投資家の方々が多いのではないでしょうか?
では、僕越の運用実績はどうだったかというとさらに悪い-10.6%でした。昨年のプラスが吹き飛ぶくらいの悪い結果でしたが、その理由としては、主力株のひとつ、ベトナム投資開発銀行(BID)株が軟調であったこと。さらにその株を買い増ししていることがあげられます。また、業績好調の日野車体のベトナム代理店チュオンロン自動車・技術株式会社(HTL)が月末に2:1の株式分割を行いました。新株が届く予定の4月末まで時間はありますが、分割直後、株価の調整が入って時価は3/2に調整されました。そのことも響いています。
パフォーマンスの悪い原因がわかれば、対応策も思い浮かぶかもしれません。この2月のテト正月休み中、世界株は大きく下落しています。休み明けの中国株式市場が、どれだけ世界とベトナムの株式市場に影響を与えるか戦々恐々としておりますが、2月は大きくパフォーマンスをあげられるようがんばりたいと思います。